株式デイトレに必須の指標ATRをとことん利用する。
きょうは、昨日(7/2金)のトレードを振り返りつつ、筆者が個別銘柄のデイトレに使用している重要な指標であるATRの利用法を検証してみたい。
その前によく似た指標であるADRの説明からすると、ADRとはローソク足1本の高値と安値との差をいい、通常は一定期間の平均値であらわす。ローソク足が日足であるなら、その銘柄の1日辺りの平均値幅のことである。
一方ATRはマド明けがあった場合をも加味する。日足で上にマドを開けた場合は、前日高値が当日の安値に当たるので、だいたいにしてATR≧ADRという数式が成り立つ。
この二者の差が気になるところではあるが、筆者はほぼ同一と認識しており、ツールのkabuステーションにはADRは完備しておらず、ATRを表示している。また、期間を初期設定の14日ではなく、200日、すなわちほぼ1年間の平均値幅を表示・利用しているので、それほどの差異はないかもしれないと思っているからだ。
ここからは、そのATRのデイトレードでの利用法を順番に追っていきたい。例として昨日手掛けたYAC<6298>のチャートでその検証に努めよう。
①サポレジとして利用する。
わかりやすく5分足チャートで解説したい。
前日7/1の1日の高値は1253円、安値は1220円で、前日はこの間での往来に終始し、終値は1536円だった。またこの日の時点でのATRは44円(小数点以下四捨五入)である。
チャートの緑線はレジスタンスライン1264円で、赤い線はサポートライン1209円である。それぞれどう計算するかと言えば、
レジスタンスは安値にATR値を加え、サポートは高値からATM値を引く。すなわち、1220+44=1264、1253-44=1209である。
なぜ高値や安値が基準となるのか。それは次のような考えに基づく。
「もし安値が底の底で、そこから上昇するのであれば、平均値幅分=ATR値分は上昇が期待できるだろう。逆に高値が天井ならば、そこから下落するはずで、その下落幅はATR値分くらいは期待できるのではなかろうか」という考え方である。
つまり、翌日7/2は1264円まで上昇後下落するか、1209円まで下落した後上昇するかの二つの値動きが想定されるのである。(それぞれどこまで下落するか、上昇するかは別問題だけれども)
ところで、7/2朝記事で、筆者はこの銘柄を買いとして取り上げた。その根拠は割愛するが、当日寄付きまではヤル気マンマンであったことは確かだ。しかし寄付き価格の1220円は前日安値と同じで、終値からはすでに16円も下落していたのを確認して、方針転換。「きょうは弱い」と買いを早々にあきらめた。
そして3本目の上ヒゲ陰線(赤矢印)を見てから1220円に売り指値を入れたが、時すでに遅し。そんなノロマな行動を大目に見てくれるはずもなく、スルスルと下落していったのだ。更に5本目の陰線(青矢印)でも飛び乗る勇気がなかった筆者は、今度はまたまた方針転換。売り指値を取り消して買いに賭けることにするのである。
ここで疑問が湧いてくるだろう。あのサポートラインはどうなった?である。
通常なら、このサポート値1209円で買う。それが基本の買いトレード法だ。しかしそれはあくまで基本だ。すでに寄付き直後に「きょうは弱い」と直感しているのである。しかも1本目のローソク足では下ひげで反発したが、3本目では確実に破られているのである。それを見て買い指値を入れることはできないだろう。
なので、今度はどこで買うかだ。
こういう場合はATR2倍値を使う。
1253-44×2=1165円(青線)。ここでの買いを検討するわけである。つまり、2日分も下落すればそこから更に下落してもそんなに損は出ないであろうという、甘い計算に基づいたトレードである。
実際に筆者は1166円で買い指値を入れた。そして入れた20分後に急落して約定した。→少しビビった。→1162円で止まったようだ。→1165円を何度か往復した後上昇していった。→ひと安心。
これがこの間の心理状態だが、どうだろうATR2倍値の威力は。
ここでもうひと銘柄、例を上げておこう。同じ日の新光電工<6967>である。
前日7/1は高値4080円、安値3880円、ATR値は95円だ。
第1サポート4080-95=3985円はすでに7/1のうちに突破されている。ならば第2サポート4080-95×2=3890円で指値しておけばいいだろう。これは朝一、最初の5分で決着がついた。安値3885円は5円(1値)違いだけ。利確は自由にどうぞとなる。
しかし、筆者はこの銘柄を売り目線で見ており、エントリーできずにいたことも報告しておかなければならないだろう。目線次第で取り逃がすことは大いにありうる。
②利確のメドとして利用する。
ここまで書けば、もうだいたいの見当はつくだろう。
YACの7/2当日高値は1225円であった。相場はそこから下落していったのであるが、運よくその高値でカラ売った場合の利確のメドである。
1225-44=1261円である。実際は1262円が最安値であり、1263円でないと約定しないかもしれないが、メドとしてはいい線いってるだろう。また筆者の1166円買い玉の利確メドは、最安値1162+44=1206円となっている。(が、弱い銘柄でもあり、小心者である筆者は1190円で利確した。実際は1199円まであった。)
また、もし新光電工の買い3890円ができていれば、最安値3885+95=3980円で決済の指値を入れていたであろう。その後4000円まで上昇しているのでめでたく約定するはずだ。
どうだろう、ATR値の威力は。
③損失を限定するために利用する。
②の利確メドとしての利用は、逆に言えば損切りの決意を促してくれることにもつながる。
例えば、上のYACの場合、1220円で売りではなく、運悪く買ってしまっていたらどうだろう。たぶん5分足を見ながら不安な時間を過ごすことだろう。
こんな時にもATR値を利用する。最高値1225-44=1181円である。ここまで下落する可能性は十分あるのだ。そして、もっと運悪ければ2倍値1137円まで急落する可能性も少なくはない。10円、20円の損のうちに切ってしまおう、とは思わないか?
が、この条項はそんな事を言いたいのではない。
自分が、1トレードあたりどれだけの損失を受け入れるかを決めている場合に、そのトレードにおける株数を調節する方法としての利用である。
例えば、1トレード辺りの損失を最高で1万円と決めているとしよう。そうすると、上のYACを売るにしても、買うにしても、
最高損失許容額10000÷ATR値44=227となり、
100株単位だから200株までが限度だということである。損失許容額が20000円なら400株売買できる。5000円なら100株でのトレードが安全というわけである。
つまり、これはATR値分を丸々負けるのを前提した上での計算だが、トレーダーたるものこれくらいの用心に越したことはないだろう。
じつは、この計算方法、利用法は筆者が編み出したものではない。
T.Kamadaさんという方の『株の話、経済の話、何の話だろう?』というブログの6/6記事で知ったのである。
このブログ自体は筆者がここ2年くらい前から読ませてもらってるが、アメリカの株式事情やマニアックなインジケーターについての記事などに詳しく、ときどきアッというヒントをもらっている。
一番感心したのは、いつのことだったかは忘れたが、皆が中国発表の経済指標に注目している当日、「世界で一番スケベな国民は?」みたいなテーマで、ポルノ動画配給会社が発表した国別ダウンロード数のことを記事にしていたことだった。
こんなあまりにも東スポ的で、お茶目なブログも珍しいではないか。
え?ところでどこの国が一番スケベかって?
そりゃご同輩、聞くだけヤボってもんだよ。
以上、天井騒ぎの【今日の周回遅れ】でした。ご清聴ありがとうございました。
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