●トレンドはフレンド
講釈:
数年前になるだろうか。相場師朗氏の著書を書店で立ち読みしたことがあった。たぶん株のツナギ売買についての著書だと思われる。最近の筆者が日経225MINI先物のトレードにおいて、両建ての玉操作にぞっこんになっているので、そのことを思い出したのだ。
タイトルも何も覚えてないが、内容は少し記憶している。その本の中に書かれている氏の手法とは、おそらく以下のようなものであったろう。
「長らく下落過程にあった銘柄の反転上昇を狙う場合は、まず空売りをかける。そして5日移動平均線の上にぴょこんと陽線が出たら買う。そして翌日以降、上がると思えば買いを増やし、空売り玉も処分する。そして、時おり増し玉をしながら天井まで持っていく」
ざっとこんな感じだろうか。間違っていたらゴメンナサイ。またこれからも、こんな皮相的な解釈で氏の手法等を論じることをお許しを。
数年前と言えば、筆者は知識的にも技術的にもてんでお話にならないレベルのトレーダーで、書かれていた実践譜を読んだ時にも「ふ~ん」という感想しか浮かばなかった。
「5日線の上に顔を出したら買うのはわかる。それはたぶん明けの明星のことだろう。あるいは、切り返えし線とか、ハラミ線とか、そんなローソク足が出れば買いという、転換のパターンを言いかえただけではないか」
そんな感想しか抱けなかったせいか、当然本も購入することなく(失礼)、その手法自体も検証することなく、やり過ごしてしまっていたのである。
しかし、そんな筆者でもひとつだけ疑問が残っていたのは確かであった。それは以下のようなことだ。
「なぜ先にショートを入れるのだ?下落トレンドの終局を感じ、その後の反転を獲ろうとするのなら、実際に陽線が出るまで待てばいいではないか。それほど長い『待て!』でもなかろう。もしカラ売った後すぐに反転したら、売り玉がもったいないし、また心理的にも苦痛なだけでは?」
この疑問のことだけはずっと残っていたらしい。それが先物のツナギ売買に興味を抱き始めた最近になって、何度も頭の中を掠めるようになってきたのである。
そして、数日前に布団の中で閃いた。
「そうだったのか。ダウ理論だ。トレンドは明確なサインが出るまでは継続する、という理論だ。下落トレンド中はいつ上昇するかはわからないため、カラ売りを入れるのが順張りというものだ。買いを入れるのはサインが出てからでも遅くはないのだ。そういう意味で、相場師朗氏はレッキとしたダウ理論の実践者なのだ」
筆者は自分が少し成長していることを喜ばしく思った。というのも、ひと昔とは違い、「ショート」することに恐怖を覚えなくなっていたからだ。簡単に売ることができる。まだ「機械的に」とは言えないにしてもだ。
もうすぐ反転するのではないか?という恐怖が心の中にある限り、トレードはできない。少なくとも自信を持って建玉することはできない。
ダウのこの理論に従っておれば、たとえ結果が失敗であったとしても傷は浅くてすむだろう。しかし、もうすぐトレンドは終了するだろうとの思い込みで逆張りしたり、ナンピンしたり、あるいは指をくわえて見ていたりしていては、結局のところ儲かりはしない。
言いかえれば、相場師朗氏の手法は攻めの手法である。こんな結論に行きついた。
≪了≫
◆相場格言曲解講座
0 件のコメント:
コメントを投稿